【洋カンナ】
 
削り台で使う手工具は言うまでもなくカンナです。このカンナの切れ味が良くなければ削り台の性能を発揮できません。そこで洋カンナを使うことも考えてみてください。洋カンナは和カンナに比べ、使いやすい手工具なのでおすすめです。和カンナは自動車に例えると、F-1レースカーのようなものです。高性能ですが、プロによる運転とエンジンや足回りの微妙な調整も必要です。それに比べ洋カンナはスポーツカーに例えることができます。高性能でありながら誰でも運転でき、難しい調整は不要です。

洋カンナも和カンナ同様、たくさんの種類があります。写真のカンナは代表的なもので、奥のカンナをベンチプレーンと呼び、両手でカンナがけします。手前のカンナはブロックプレーンと言い、片手で使えるコンパクトなカンナです。洋カンナは押して削ります。MIRAI削り台金具で作る削り台は洋カンナを使う場合、コンパクトなブロックプレーンが向いています。どちらのカンナも本体は鋳鉄製なので、台直しが基本的に不要です。ただ、安価な洋カンナでは購入時、下端を平らなガラス板や石盤などに貼ったサンドペーパーの上で平面チェックと修正を行う必要があるものもあります。


カンナ刃については、刃裏が平らなので、和カンナのように何度も研ぐうちに刃がつかなくなる「裏切れ」とそれを修正する難しい「裏打ち/裏出し」作業がありません。

刃研ぎについては@のように一定の角度を保ちながら研ぐのが基本であり、理想ですが、実際にやってみると、とても難しいものです。
Aのようになり、丸刃になってしまうのが一般的でしょう。洋カンナの場合、ローラーの付いた刃研ぎガイドに固定し、砥石上で常に一定の角度で簡単に研げます。丸刃になることもありません。また、この写真の刃研ぎガイドの場合、刃を固定するクランプ部分から刃先までの距離を50ミリにすることで、研ぎ角は25°になります。洋カンナ研ぎ角は多くの場合25°です。

【刃研ぎガイド】
削刃研ぎガイドについて少し詳しく見てみましょう。写真Aは刃を挟んでクランプする部分です。左右に広がります。写真Bは裏側のローラー部分です。砥石の上を転がりながら行き来します。写真Cは刃研ぎガイドに刃をセットしているところです。刃研ぎガイドから正確に50ミリ刃を出すためのゲージを使っています。アクリル板とアルミ棒で自作しました。こうして刃をセットすると50ミリの突出し量がいつも正確なので、砥石に置いた時、刃の研ぎ面全面が砥石に接します。刃先付近だけが接し、そこから全面研ぎ出さなければならなかったりという苦労が避けられます。研ぎ時間も大幅に短縮されます。2段研ぎする場合は、1段目(25°)の研ぎが終わってから、砥石上のローラーが前後する部分のみに、厚み3ミリ程度のアクリル板を置きます。こうしてローラーを一段高いところで動かせば、刃先が砥石に接する角度が変わるので2段研ぎになります。写真の刃研ぎガイドはイギリスのEclipse製ですが、このメーカーはすでに無く、類似品が多く出ています。ホームセンターなどで扱っています。(和カンナの刃研ぎには適しません。刃の形状が四角形ではなく、ややテーパーになっており正しくクランプできないからです。)
 
この写真は左がベンチプレーンの刃です。右は別の種類の刃研ぎガイドです。
 
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